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全介助の方の口腔ケアはどうする? 基本的な手順や注意ポイントを解説

寝たきりの方に対する口腔ケアは、口腔内を清潔に保って虫歯を予防するだけでなく、口腔機能の維持や向上、誤嚥や感染症を予防する目的もある重要なケアの1つです。

本記事では、寝たきりの方の口腔ケアに必要な道具や、基本的な手順、注意点などを詳しく解説します。

全介助の方の口腔ケアはどうする? 基本的な手順や注意ポイントを解説

口腔ケアとは? 口腔ケアが重要な4つの理由

口腔ケアとは、歯磨き、うがい、舌や歯茎の清掃などを通して、口の中を清潔な状態に保つことです。
食事、排泄、入浴など日常的な生活の中で全面的な介助が必要な全介助の方にとっては、口腔ケアも身体の清潔や健康を維持するために欠かせない重要なケアの1つです。

以下では、口腔ケアが全介助の方にとって重要な理由を4つ紹介します。

口腔内を清潔に保つ

歯ブラシやうがいなどで口腔内を清掃すると、虫歯予防ができます。
また、口腔内を清潔に保つことで細菌の繁殖が防げ、歯周病などの口腔内のトラブルや口臭も抑えられます。

全身の感染症や疾患を予防する

口腔ケアがおろそかになると歯周病にかかりやすくなりますが、歯周病は心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎、関節炎などを引き起こす原因となったり、症状を悪化させたりすることがあります。

口腔ケアによって口腔内の健康を保つことで、全身に関わる疾患の予防ができるのです。

味覚を保ち食欲を向上させる

口腔ケアで舌の汚れをきれいに取り除くと、唾液の分泌が促進され味覚も改善します。
味覚の改善は食欲の増進にも繋がり、しっかりと唾液が分泌されることによって消化もよくなります。

生活の質「QOL」を向上させる

口腔ケアを行うことで、介護者と患者の間にコミュニケーションが生まれます。
また、口腔内の清掃を行うことで虫歯や口臭を気にせずに済み、お口回りが適度にマッサージされて表情も豊かになります。

介護者や家族との会話が楽しめるようになり、食事も美味しくいただけるようになります。
口腔ケアは身体的なサポートだけでなく、精神的な健康を保つことにも役立ちます。

全介助の方への口腔ケアの手順

寝たきりの方の口腔ケアを安全に行うには、どうしたら良いのでしょうか?
適切で安全なケアを行うために、以下の手順で進めましょう。

口腔ケアに必要なものを準備する

全介助の方の口腔ケアに使用する用具を準備しましょう。
よく使われるものは以下の通りです。

・やわらかめの歯ブラシ
・歯磨き粉
・デンタルフロス(糸ようじ)
・舌ブラシ
・スポンジブラシ(粘膜清掃用)
・口腔ケア用ガーゼ
・コップ
・ガーグルベース(うがい受け)

患者の状態を確認する

口腔ケアを行うためには、患者がしっかり口を開けられることが必須です。
まず、口がどのぐらい開けられるのか、開けた時に顎に痛みが生じないかを確認しましょう。
口が開けられる場合は、口腔内の歯、歯茎、舌、粘膜などを確認します。

虫歯がないか、ぐらついている歯や神経過敏な歯がないか、歯茎や舌に傷や腫れがないか、舌苔などがないかをチェック。
虫歯、痛み、腫れなどがある場合は、歯科医師の診察を受けましょう。

うがいをする

口腔ケアの最初にうがいをして、口腔内に残った食べかすや汚れを排除し、口腔内を潤します。
自分自身でうがいができる場合は、自分で行ってもらいましょう。

うがい中に水を飲みこんでしまわないよう、患者の状態に配慮しながら身体を起こします。
身体を起こせない患者はうがいができないので、水を含ませたガーゼや口腔内用のウェットティッシュで、口腔内の汚れを拭いましょう。

歯磨きをする

歯磨きも本人ができる場合は自分で行ってもらい、介護者は仕上げ磨きを行います。
歯ブラシはヘッドが小さく毛のやわらかいものを選び、歯磨き粉も刺激の少ないマイルドなものを少量使用します。
歯ブラシは力を入れ過ぎずに、小刻みに動かすことを心がけましょう。

歯磨きの介助をする時は、患者と向き合って正面から歯磨きを手伝います。
唾液が溜まらないようにこまめに吐き出してもらい、口元の水分を拭ってあげましょう。

スポンジやガーゼを使って清拭する

身体を起こすのが難しい患者は歯ブラシを使った歯磨きができないので、スポンジブラシやガーゼを使って口腔内を清掃します。
スポンジブラシは水を含ませてから絞り、歯の表面、裏側、歯茎、舌をやさしく拭うように清掃します。
スポンジブラシは使用後は捨てて、毎回新しいものを使用します。

口腔ケア用のガーゼを使用する場合は、人指し指に巻いてガーゼの端を握って使います。
歯の表面も裏側も、奥歯から手前へ向けてやさしく清拭します。

舌の掃除をする

舌の表面が白くなっている場合は、食べかすや剥がれ落ちた粘膜などからできる舌苔が付着している恐れがあります。
舌苔は細菌の温床となり、口臭、歯周病、味覚障害などの原因にもなります。

舌の表面はデリケートなので、必ず舌ブラシやスポンジブラシを使って舌の掃除を行いましょう。
舌ブラシやスポンジは舌の奥から手前へ、力を入れすぎずにやさしく行いましょう。

口腔ケアの注意点

全介助の方の口腔ケアは患者本人が望む範囲で安全に行うことが重要です。

寝たきりの方が歯磨きをしたりうがいをしたりする時は、唾液や水を上手く吐き出せずに誤って飲み込んでしまうことがあります。
誤嚥を防ぐためにも体勢に気を付けて、サポートしてあげましょう。

また、口を開けるのが難しい方や長時間起き上がるのが難しい方の場合、無理をさせないことも大切です。
虫歯や炎症などが見られる場合は無理をして口腔ケアを行わず、歯科医に治療することをすすめましょう。

まとめ

全介助の方への口腔ケアは虫歯や歯周病予防だけでなく、味覚を保ち食欲を向上させたり、生活の質を向上させたりなどのメリットがあります。

しかし、患者の中には口腔ケアを嫌がる方もいるし、身体を起こしたり口を開けたりするのが大変な方にとっては負担の多いことでもあります。
患者の尊厳や安全を配慮しつつ、手順に沿って慎重に行いましょう。

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