介護サービスは自宅で受けられる居宅サービスと介護施設などで受けられる施設サービスに区分できます。
居宅サービスの中で最も多く利用されているのが訪問介護です。
本記事では訪問介護の内容や受けられるサービス、該当しないサービスなどについてわかりやすく解説します。
訪問介護とは
訪問介護とは、要介護者が可能な限り自宅で自立した生活を送るため、訪問介護員(ホームヘルパー)に自宅に来てもらって身体介護や生活援助をしてもらえるサービスのことです。
ここでは、訪問介護の利用条件や利用できる頻度、対象となる人について解説します。
訪問介護の利用条件
訪問介護の利用条件は、居住する自治体によって「要介護認定」を受けていることです。
要介護認定を受けていない人は、自治体に申請しなければなりません。
要介護の手前で、自力で生活ができる「要支援」の人が訪問介護を利用する場合は、「介護予防訪問介護」の形でサービスを利用します。
訪問介護を受けられる頻度
サービスを利用できる頻度は、要介護認定者と要支援認定者で異なります。
要介護認定者の場合、1日2回以上サービスを利用したい場合は、2時間以上の間隔をあけなければなりません。
要支援認定者の場合、要支援1の人は週2回まで、要支援2の人は週3回までに利用が制限されます。
訪問介護の利用料金
訪問介護の利用料金は支援内容と利用時間によって決められています。
身体介護であれば1回あたり165円から575円、生活援助であれば181円か223円、通院時の乗降の介助であれば1回あたり98円となっています。
利用するメリット
訪問介護の利用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
大きなメリットは自宅での生活を維持したまま介護サービスを受けられることです。
介護施設を利用するよりも料金を抑えられ、サービス内容を柔軟に変更できるといった点でもメリットがあります。
加えて、家族の介護負担を減らすことにもつながります。
自宅で過ごしたいが、家族への負担を減らしたいと考えているのであれば、訪問介護は有力な選択肢の一つになるでしょう。
訪問介護のサービス内容
訪問介護サービスの内容は身体介護と生活援助に分けられます。それぞれの内容についてみてみましょう。
身体介護サービス
身体介護は利用者の体に直接触れて介護を行うサービスのことです。
利用者の自立支援や重度化防止を防ぎ、専門知識や技術を活用して介護を行います。
具体的には食事介助、入浴介助、更衣介助、身体整容、外出介助、体位変換、排泄介助、歩行介助、清拭などの支援が行われます。
一人で食事をとることが難しい人や一人で入浴出来ない人、排泄介助が必要な人は身体介護が必要な人といってよいでしょう。
生活援助サービス
生活援助は支援者や家族が家事をこなすことが難しい場合に、ホームヘルパーが日常生活援助を行うサービスのことです。
掃除、洗濯、ゴミ出し、料理、買い物、ベッドメイクなどが該当します。
洗濯介助の中には洗濯物の収納が含まれます。
訪問介護で受けられないサービス
訪問介護はホームヘルパーが自宅で介助してくれるため非常に便利なサービスです。
しかし、何でもやってくれるというわけではありません。
ここでは訪問介護で受けられないサービスを取り上げます。
医療行為に該当するもの
1つ目は資格がないと行えない医療行為に該当するものです。
インスリンの注射やたんの吸引、床ずれの処置、摘便などを依頼することはできません。
ただし、経管栄養やたんの吸引については一定の研修を受けた介護職員でも実施可能です。
日常生活支援に該当しないもの
2つ目は生活援助サービスの日常生活支援に該当しないものです。
庭の草むしりや家具の修理、電球交換、ペットの散歩や世話、大掃除、窓のガラス吹き、お正月の準備といった内容は日常生活支援を超えたものとされ、サービスにあてはまりません。
本人以外への行為
3つ目は本人に直接かかわらない行為です。
たとえば、本人だけではなく家族の分の料理を作ってもらったり、子供の面倒を見てもらったり、利用者の部屋以外の場所を掃除してもらったりするのは訪問介護のサービス範囲を超えているので該当しません。
訪問介護の方は利用者をサポートしてくれるのでついつい色々なことを頼みたくなりますが、家事専門の仕事ではありませんので、サービス範囲外のことを依頼するのは控えましょう。
まとめ
今回は訪問介護の概要やメリット、内容、訪問介護で受けられないサービスなどについて解説しました。
かつてと異なり、家族だけで介護するのが困難になっている状況を踏まえると、自宅にいながら介護を受けられる訪問介護は、自分や家族への負担を減らす良い選択肢だといえます。
高齢になっても自宅で過ごすため、訪問介護を検討してみてはいかがでしょうか。