発声・発音に異常をきたしている構音障害を持つ方の看護は、コミュニケーションの取りづらさから負担が増えることもあるでしょう。
看護される側も思うように意思を伝えられず、不安やストレスを感じやすいため、相手に寄り添った接し方が大切です。
この記事では構音障害の種類や、構音障害を持つ人を看護するときのポイントを解説しています。
構音障害のある人と接したり、看護したりする際にお役立て下さい。
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構音障害とは?
構音障害とは、会話する際に必要な器官に何らかの問題が生じ、発声・発音などに異常をきたしている状態です。
言語障害やコミュニケーション障害の一種ですが、構音障害があるからといって、会話ができないわけではありません。
通常通りに発声できないために、会話に支障が出ている状態です。
そのため、患者さんは伝えたいことを上手く伝えられず、ストレスや不安を抱えることがあります。
看護する側には、そうした患者さんの気持ちに寄り添ったコミュニケーションの取り方が必要です。
また、構音障害にはいくつか種類があり、原因や症状が異なります。
構音障害の種類|運動障害性構音障害
発音・発声に必要な器官の麻痺や神経異常、運動機能が損なわれておこる構音障害は、運動障害性構音障害です。
口唇や声帯、舌、下顎、軟口蓋などの働きが損なわれ、特定の音が発音しづらくなります。また、話す速度や抑揚が不自然になる症状も見られます。
運動障害性構音障害がある場合、発声だけでなく呼吸や飲食時の障害が出る場合もあり、患者さんの様子に注意しましょう。
発症原因には、脳卒中や脳腫瘍、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などが挙げられます。
構音障害の種類|器質性構音障害
発音・発声に必要な器官の形状異常からおこる構音障害は、器質性構音障害です。
発声時に空気が漏れる・抜ける、舌の動きが不十分などで、正しく発音できない症状が見られます。
器質性構音障害の原因は、口腔内や唇、舌の先天的な欠損または異常によるものもあれば、切除手術の影響によるものもあります。
構音障害の種類|聴覚性構音障害
声を発する部分ではなく、聴覚に問題があることで起きる構音障害は、聴覚性構音障害です。
この場合、自分の発声を認識できないために、正しい音を出せず、会話に支障をきたします。
聴覚性構音障害がある患者さんとのコミュニケーションには、補聴器の利用や筆談、手話などが必要です。
構音障害の種類|機能性構音障害
発音・発声に必要な器官にも、聴覚にも問題がない場合は、機能性構音障害に分類されます。
発育途中にある子どもにも多く、ほとんどの場合は成長とともに正しく発音できるようになります。
ただし、コミュニケーションに支障をきたすようなら、発音訓練での改善が必要です。
構音障害がある人を看護するときのポイント
構音障害がある人は声を出せないのではなく、発声に何らかの問題があるため、会話に支障をきたしています。
構音障害を持つ人を看護するときは、そうした状況に配慮し、次に紹介するポイントを意識しましょう。
心理的負担を考慮してコミュニケーションする
構音障害を持つ人は、自分の意思を思うように伝えられず、もどかしい思いをしていることがあります。
そういった気持ちに寄り添い、相手を理解しようとする姿勢が重要です。
この人は自分で伝えられないのだからと、意思確認を怠ってはいけません。
自分の話は聞いてもらえないと患者さんが感じてしまうと、コミュニケーションの意欲を失わせます。
相手との信頼関係を築けないだけでなく、人によっては孤独を感じてうつ病を患ったり、認知症を進行させたりする恐れもあります。
構音障害を持つ人の看護では、相手の伝えたいことをしっかり聞く姿勢を見せ、丁寧に対話しましょう。
患者の様子を注意深く観察する
思うように会話できなくても、身振りや表情など言葉以外の方法で意思を伝えようとする場合があります。
日頃から行動を注意深く観察し、求めていることを汲み取る努力をしましょう。
看護する側がすべてを読み取れるわけではありませんが、相手の気持ちを理解する姿勢が大切です。
ただし、先回りして答えを出してばかりだと、自発的なコミュニケーションの機会を奪いかねません。
適度な距離感で接し、相手の意思を確認しながらの対話を心掛けましょう。
静かな場所で時間を取って話を聞く
構音障害の程度によって異なりますが、構音障害のある人の話は、聞きづらさ・伝わりにくさがあります。
そういった点を考慮し、静かな場所でゆっくり話を聞ける環境が必要です。
周りが騒がしい環境下では、患者さんの発言が余計に聞き取りづらくなります。
また、回答を急かされると患者さんにはストレスです。
答えはゆっくりでよいと安心させ、時間をとって話を聞ける状態にしましょう。
「はい・いいえ」や選択肢を選んで答えられる聞き方をする
構音障害がある人は、口頭での複雑な回答は難しい場合があります。
看護する側も相手の思いを正確に聞き取れない可能性が高まるので、なるべく簡単に答えられる聞き方で対話しましょう。
「○○に行きますか?」「○○を持ってきましょうか?」など、「はい」「いいえ」で答えられる聞き方なら、意思確認がしやすくなります。
あるいは「AとBだと、どちらがいいですか?」というような、選択肢を用意して選んでもらう聞き方も答えやすいでしょう。
必要に応じて道具を使う
言葉を発するのが難しくても、筆記具を使って筆談できる場合があります。
最近はタブレット端末に文字を入力して、伝える方法もあるでしょう。
また、文字盤やイラストを用意し、指差してもらって患者さんの意見を聞く方法も考えられます。
このように、必要に応じて道具を使ってコミュニケーションすれば、構音障害のある人の負担を減らしつつ、意思確認が可能です。
まとめ
発生・発音に必要な器官に何らかの問題が生じて構音障害がある人は、コミュニケーションが取りづらくなります。
構音障害のある人を看護するときは、そうした事情に配慮して相手と向き合う必要があるでしょう。
伝わりにくさから相手が感じている心理的負担を考慮し、注意深く様子を観察して対話します。
話を聞くときは静かな場所で時間を取って行ない、簡単に答えられる聞き方や状況に合わせて道具を使ったコミュニケーション方法を活用しましょう。
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